ブルータスよ、お前もか Et tu, Brute? 2014 2 2

書名 アメリカは日本の消費税を許さない
著者 岩本 沙弓  文春新書

 「そりゃ、そうだ」
日頃から、オバマ政権(2014年当時)を批判している私でも、
この問題に関しては、アメリカの言い分が正しいと思います。
消費税(付加価値税)とは、貿易振興策です。
 そもそも、アメリカが巨額の貿易赤字を抱えて、
ニクソン・ショック(金ドル交換停止)につながったのは、
欧州の「高率の付加価値税」が原因だったと思います。
 付加価値税は、一石二鳥です。
財政的には税収増につながり、
貿易では輸出企業に巨額の還付金が給付され、輸出強化策となります。
 逆に、付加価値税を導入していない国(アメリカ)からみれば、
アメリカ製品を欧州に輸出すると、高率の付加価値税が課税され、
アメリカ企業には何の還付金もありません。
 これは、アメリカの輸出産業にとっては、
「非関税障壁」そのものです。
 ただし、アメリカにも油断があったと思います。
このような例外ルールを作ったGATTを気前よく認めたことです。
(GATTとは、関税及び貿易に関する一般協定のことです)
 アメリカ人は、お人よしですから仕方ないことですが、
さすがは「人類の英知」と言われた欧州は外交上手です。
 そんな欧州の「成功」を見ていた日本としては、
「いつかは日本も付加価値税を導入して成功したい」と思っていましたが、
さすがに、アメリカの「同盟国」である日本としては、
アメリカの怒りを買うので、付加価値税を言い出すことができなかったのです。
 ところが、世界最速で進む少子高齢化によって、
少子化対策と高齢者福祉のために付加価値税を導入する大義名分ができたのです。
 しかし、アメリカからすれば、
日本も、欧州と同じようなことをするのかと見えてしまいます。
そこで、「同盟国」の日本としては、TPP加入という切り札を出したのです。
これならば、付加価値税とTPPで、日本とアメリカは公平になるのではないかと。
 さて、歴史に「if」はありませんが、
日本が、欧州型の付加価値税ではなく、単なる売上税を導入していれば、
それほどアメリカの怒りを買わなかったのではないかと思います。
 経済学者のクルーグマン氏の指摘は正しい。
"border adjustments"on VATs-taxes on imports,rebates on exports
(The Conscience of a Liberal,2009)
「付加価値税についての国境調整、すなわち輸入品には課税、輸出品にはリベート(還付金)」











































































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